一般社団法人大阪市天王寺区歯科医師会

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歯のQ&A

歯のQ&A


Q1.歯が抜け落ちたとき

外傷で歯が抜け落ちた場合は、その歯を拾って歯科にすぐに行ってください。再植といって元の位置に戻すことができます。その際、歯が乾燥しないように、濡れたガーゼなどに包むか、牛乳(無い場合は水)の入った瓶に入れてください。再植した歯の寿命は数年と言われてますが、学齢期の前歯に多くみられる脱臼で、歯の再植により咬合(かみ合わせ)、咀嚼、発音や心理的悪影響を防ぐことができ、義歯の作成時期を遅らせることができます。

Q2.急に口が開かなくなった

あくびや大きく口を開けようとしたり、咀嚼時に突然口が開かなくなることがあります。その際、無理に口を開けようとせず、顎を安静にすることが大切です。顎の関節には、下顎骨の下顎頭と側頭骨の下顎窩にはさまれたところに関節円板があり、口の開閉に合わせて動き、クッションの役割を果たします。かみ合わせの不良や、口腔悪習癖などの色々な原因で、この関節円板がずれ込んで、結果として口が開かなくなります。大きなあくびなどで顎がはずれる顎関節の脱臼とは違う病状です。
自然に治ることもありますが、何度も障害を繰り返していますと、悪化しますので、顎を安静にして、専門医を受診して下さい。

Q3.歯の周囲から出血が止まらない

・出血のおもな原因
歯肉、いわゆる歯茎は、血管が豊富で食べ物等の刺激で容易に出血します。常に唾液がその表面を流れているので、止血しにくく、多量の出血と間違いやすいです。出血の原因は歯周病、外傷、全身疾患によるものなどが考えられます。

・歯周病の場合
歯周病による出血は、歯肉の辺縁、特に歯と歯の間の歯肉(歯間乳頭部)からの出血が多く、歯肉の色が紅色、または暗赤色で腫れています。歯ブラシの使用などで簡単に出血しますが、ほとんどの場合はそのままで自然に止まります。正しいブラッシングにより、歯周病を治すと出血もなくなります。

・歯肉に外傷を受けた場合
この場合は、歯肉のみに限られた小さな傷はガーゼなどの圧迫により止血できます。
もし外傷で、湧き出るような出血や拍動性の出血があるときは、顎の骨が骨折を起こしている可能性がありますので、ガーゼなどによる圧迫をし、歯科医院を受診して下さい。

・全身疾患による場合
この場合、一番問題になるのは、再生不良性貧血、血友病、紫斑病、白血病などの血液疾患によるもので、流れ出すような出血が続き、自然に止血することはありません。
特に、急性白血病の場合は、歯肉の辺縁からの出血を初発症状とすることも多く、2〜3日続くようなら、大学病院、総合病院などを受診して下さい。

Q4.親知らずが痛むとき

智歯(親知らず)は、普通20歳前後に生えると言われますが、その時期については個人差も大きく、一定してません。萌出方向が斜めや水平であると、顎の骨の中に埋まって一生生えてこないこともあります。また必ずしも上下左右4歯あるとは、限らず、4本全てない人もいます。
親知らずの痛みは、周囲の歯肉と骨の炎症によるもので、智歯周囲炎と言われます。生理的な現象として智歯の萌出途中に痛む場合と,智歯の萌出する隙間がなく,智歯の一部または全部が歯肉でおおわれ,不潔となり炎症を起こして痛む場合があります。智歯周囲炎には,抗菌剤や消炎剤などが有効です。

萌出途中の智歯の場合
 萌出が不完全でも,歯の萌出する隙間がある場合は,おおっている歯肉の切除・整形手術が有効ですが,再発を繰り返すこともあります。
 
智歯の萌出方向が異常な場合
 この場合は、斜めや水平方向を向き,埋伏状態(埋伏歯)となることが多いです。このような場合に智歯周囲炎を発症すると再発を繰り返しますので,抜歯の適応となります。埋伏歯であっても,症状のないもの,他の障害を発症しないものは必ずしも抜歯の必要はありません。

                       
Q5.妊娠中のたばこ、アルコール

妊娠中の喫煙
 たばこに含まれる有害物質は100種類を超え、特にもニコチンと一酸化炭素は,赤ちゃんへの十分な栄養や酸素の供給を阻害します。初期には流産の可能性を高め,中期以降は赤ちゃんの発育を遅らせて,低出生体重児(2,500g未満)になる確率が高くなります。妊娠に気付いたらなるべく早く禁煙しましょう.家族の喫煙からも空気中の煙として影響を受けますので,できれば夫婦そろってやめましょう.
 
妊娠中のアルコール
 アルコールの害は,たばこほどではありませんが,アルコールは胎盤を通してお腹の赤ちゃんに移行します。母親が酔えば赤ちゃんも酔っ払いますから,妊娠中はアルコールを控えたほうが賢明です。たまに,ビールをコップ1杯程度,夫につきあって楽しむぐらいのことは心配いりません。
                       
Q6.歯の神経とは

歯の神経組織は歯髄(しずい)といい,エナメル質,セメント質,象牙質の硬組織におおわれ,根の先で歯のまわりの歯周組織とつらなっています.歯の神経とよく言われていますが,神経だけでなく血管やリンパ管,象牙質を作る象牙芽細胞などが含まれています。これらが存在することにより,象牙質が形成されたり,外から加わる刺激に対して防御する働きがあります。
歯髄は,どんな刺激を受けても痛みとして脳に伝えてしまうため,冷たい,暖かい,甘い,風があたる,歯ブラシが触るなどの刺激を受けると,その刺激が加わった瞬間,「しみる」,「ズキッ」,「チクッ」などの一瞬の痛みとして感じてしまいます。このような反応は,歯髄にしてみれば正常に機能していることを示しています。
                       
Q7.キシリトールとは

キシリトールは,むし歯の原因となる菌を含め,口の中にいる細菌によって利用されない単糖アルコールです。代替甘味料として利用されますが,さらにプラーク抑制作用,すなわちむし歯の原因となる菌の活動を抑える作用も示します。他の糖アルコールと同様,エナメル質の初期脱灰部分に再び石灰化をもたらします。甘味料としてはショ糖と同程度で味覚もよく,口の中に入れた時の清涼感は強いといえます。しかしとりすぎると腹部不快症状をもたらすという糖アルコール共通の性質に注意する必要があります。

Q8.かかりつけ歯科医

かかりつけ歯科医をもつことの意義は,どんなところにあるのでしょうか。
 高齢になると歯周病などで多くの歯が失われていきますが,定期検診を受けながらきちんと予防管理を受けることによって,長期間,歯を失わずに過ごせる場合もあります。また,以前から自分の患者さんであった場合には,たとえ寝たきりになっても,積極的に往診をしてくれる歯科医は少なくありません。
 これまでも,そして今後もずっと「継続して診療」してもらうということです。そのことによって,従来からの治療の経緯をふまえた対応をしてもらえるだけではなく,将来についても体調に合わせて様子を見ながら,無理のない対応を考えてくれることでしょう。
 そして最後に,「専門的な治療の確保」ということがあげられます。これは,かかりつけ歯科医自身が歯周病や義歯などの治療の専門家である場合もありますし,もしも自分の専門領域外であれば,専門医や病院を責任もって紹介してくれるということを意味します。このことによって,患者さんはなんでも安心して,かかりつけ歯科医に相談することができます。
 とくに勤め人の場合は,転勤があったり,職場の近くにかかっていたりして,在職中はかかりつけの歯科医が決まっていないことが多いようですが,退職後には早い時期に自宅近くで,かかりつけの歯科医を見つけることをおすすめします。

Q9.歯が痛みますが。

 歯の痛みは,齲蝕(うしょく:むし歯)によって起こるものと,齲蝕とは関係ないものがあります。
 齲蝕によって起こる痛みは,齲蝕の進行に応じて,

冷水痛(冷たい水や食べ物,冷たい風がしみる)
温水痛(温かい水や食べ物がしみる)
自発痛(何もしないのに痛い)
咬合時痛(こうごうじつう:歯を噛み合わせたときに響く)
咀嚼時痛(そしゃくじつう:物を噛んだときに響いたり痛みがある)

などの症状が,単独ないし複数で現れます。
 また,歯髄との関係では,歯髄が生活(歯髄が生きている状態)している場合と,歯髄が失活(しっかつ:歯髄がない状態)していて歯根(しこん)の先端部周囲組織の炎症に関係するものとの2種類があります。

 齲蝕の程度と痛みの関係は,齲蝕症第1度(エナメル質齲蝕),および第2度(象牙質齲蝕;ぞうげしつうしょく)では,甘い食べ物を噛んだときに痛みがあり,冷水痛があります。第3度(歯髄に炎症が及んでいる)では,冷水痛,温水痛に加え自発痛があり,ときには咬合時痛もでる場合があります。さらに歯髄がなく,歯根の先端部周囲組織に炎症がある場合(第4度,歯根のみの状態を含む)では,冷水痛,温水痛がなく,咬合時や咀嚼時に痛みが出てきたり,自発痛を伴ない,腫れることもあります。
 また,原因が齲蝕とは関係ないものでは,象牙質知覚過敏症(ぞうげしつちかくかびんしょう)がありますが,冷たい水や冷たい風にだけしみ,自発痛はありません。
 自発痛が出たときは,早く歯科医院で治療してもらってください。