どのような薬品でも誤った量を大量に使用したときには毒性が心配されます。しかし今回のようなフッ素の局所的な塗布
においては、その使用量を正しく守っていけば、急性中毒の心配は全くありません。お子さん一人ずつの使用量について
厳密に管理しながら塗布しますので、安心してください。

Q2．.フッ素に発ガン性はないのか？

飲料水に低濃度フッ素を摂取した場合に、骨肉腫を含めたガン発生の危険性がある、あるいはガンによる死亡率が増
加するという研究報告がみられましたが、それらの研究結果については因果関係が全てないことが明らかになっていま
す。今回のフッ素塗布では、フッ素による発ガン性については全く心配することはありません。

大人の場合でも同様ですが、特に子供では、自分の嫌な味のものなどが口の中に入るといやがって 吐き出そうとしま
す。そして簡単に嘔吐反射を引き起こし、食べたものなども一緒に吐き出して しまいます。今回使用するフッ素塗布の
薬剤には正リン酸という酸味のするものが入っていますので 酢っぱいものが嫌いな子供などは多少嫌がるかもしれませ
ん。しかしながら、その症状はフッ素の急性中毒による嘔吐ではないので心配はいりません。無理のない範囲で塗布をさ
れたらいいでしょう。

フッ素塗布の歴史は世界各国でも長いですが、フッ素が原因でアレルギーを起こしたというような報告はありません。卵、
牛乳などのタンパク質は子供にもアレルギーを起こしたりしやすいのですが フッ素を塗布することで同様のアレルギー反応
が起こることは、まずありえない話です。安心してください。

お知らせの中に「よく歯をみがいてきてください。」と書いてありますが、それほど神経質に考えることはありません。フッ素塗
布をする場合、歯の表面に付着している歯垢（プラーク）をきれいに取り除いてからフッ素を塗りますが、これは歯の表面
にフッ化物を十分に作用させるためなのです。歯みがきをしていないからといって効果がなくなるようなことはありませんの
で、 心配ありません。それよりも、人に口の中を見てもらう前には、必ずお口の清掃をしておく習慣をつけておいて欲しい
ものです。

フッ素を歯に塗布すると歯の表面で化学反応が起こり、フッ化カルシウムというものができます。　この物質が歯のエナメル質と徐々に反応して歯の質を強くします。フッ素塗布したあとでうがいをしたり飲食をしたりすると、この物質が歯の表面から流れてしまい、塗布による予防効果が低下してしまいます。だから、塗布後３０分程度はうがいや飲食はしないほうがよいのです。だからといって、もし、不注意でうがいなどしてしまっても、効果が完全になくなってしまうわけではありませんので、安心してください。

フッ素塗布による虫歯の予防効果を上げるためには、乳歯が生え始める１歳前後から定期的に継続して塗布を行うことが必要です。１回だけの塗布では効果はあまりありませんが、継続して塗布していけば およそ２０〜４０％程度のう蝕予防効果があるとされています。かかりつけの歯科医院などで継続的に フッ素塗布やその他の予防処置を受けられるとよいでしょう。塗布する回数などは歯科医とよく相談してください。

フッ素塗布は基本的にかかりつけの歯科医院で受けられるとよいでしょう。費用に関しては保険診療の枠内で受けられる場合とそうでない場合があり、一概には言えません（患者となる子供の年齢や虫歯の本数などにより異なります）。詳しくはかかりつけの歯科医とよく相談してください。塗布の回数も相談されるとよいでしょう。

フッ素の効果を上げるためには、最低でも、年２回程度塗布する必要があります。確実な効果を期待する場合、毎月１回ほど塗布する場合もあります。かといって毎日のように塗布することはフッ素の飲み込み量も増えますから、よくありません。フッ素利用の頻度の高い国では、フッ素の過剰摂取が問題とされるケースもありますが、日本では飲料水のフッ素添加やフッ素錠剤の服用などもされていないので、過剰摂取の問題はほとんどでてきません。しかし、前回の塗布から数日しか経っていないような場合は急性中毒の心配などはないものの、塗布の必要はあまりないでしょう。心配な場合、前回塗布してもらった歯科医などにも相談してください。

フッ素の添加された歯みがき剤の販売量は年々増加してきました。フッ素塗布をしてもらった後も低濃度のフッ素が口の中に存在していると歯を丈夫にして虫歯になりにくくなります。塗布という 単一の方法だけではなく、フッ素入りの歯みがき剤の使用などを併用して予防効果を高めてください。歯みがき剤に添加されているフッ素は、フッ素塗布などに使用するものと比べて濃度がかなり低くなっており、毎日継続して使用しても大丈夫なようになっています。安心して使用してください。